交換留学体験記
戸田 明里 さん
★ブルゴーニュ大学との交換留学生第1号(それまでは愛媛大学にお迎えする一方でした)の戸田明里さんより、フランス語を学ぶ後輩の皆さんに向けての体験談です。就活のピーク期を過ぎての帰国となることを少し心配していた戸田さんでしたが、幸いにも希望の仕事に就くことができ、留学体験をフルに活かして働いています。
私は2014年9月から2015年8月までの1年間、愛媛大学とブルゴーニュ大学間の交換留学制度を利用し、フランスのディジョンという街で留学生生活を送りました。
留学する、ということは、皆さんが今、日本で普通に送っている日常の全ての言語が、「フランス語」に替わるということです。当たり前のことですが、大学での授業はもちろん、買い物も、友達とのおしゃべりも、電車のアナウンスも看板も、何気ない挨拶から難しい諸手続きまで、目に映る文字、耳に入ってくる音、そして、自分が発信したい時に使う言葉、その全てがフランス語になる、それが「フランスに留学する」ということです。
ここまで読んで、大変そうだなぁ…と思ったあなた。はい、とーーーーーっても大変でした!!(笑)毎日毎日フランス語でもみくちゃにされる日々は、とても刺激的で学びも多い一方、ものすごくエネルギーの要るものでした。言いたいこと、伝えたいこと、知りたいことはたくさんあるのに、うまく言葉にして表せない。授業の内容どころか、親切に話しかけてくれる友達の言葉も理解しきれない。コミュニケーションを取るうえで、いかに「ことば」というものが重要であるのか、それをうまく使いこなせないことがどれほど悔しくて、苦しいかを思い知らされました。
けれど、泣いても笑ってもフランス語、の毎日というのは、それだけ実践の数が増えるということで、日々経験値がガンガン上がるということです(笑)。大学での勉強も、難しいながらにやはり、「学ぶ楽しさ」というものがありました。それに、伝えたい・心を通わせたいという強い意志と姿勢があれば、どんなにヘタクソでも、想いの全てをうまく口にすることができなくても、心と心は触れ合えるものです。失敗はこわいし、申し訳ないし、恥ずかしいし、悔しい。でも、そこを開き直って一歩踏み出してみちゃうこと!…が、もしかしていちばん大切なことだったかも、と思います。
さて、ここまで言語のことばかりでしたが、私が何よりも「留学して本当に良かった」と思うことは、実は、言語に関することでも、異文化体験でもありませんでした。それはズバリ、国籍も母国語も、肌や髪や目の色も様々な人たちと、交流できたことです。
"どこの国の人か" なんて、それはただ、その人の個性のうちの1つにすぎない。友達になるのに、生まれた国は関係ない。けれど、その国に生まれた友達ができると、次にその国名を聞いたとき、不思議とその人の顔が浮かんできます。そうなったなら、そこはもうただの外国ではなくて、大切な人のいる国、です。大切な人、会いたい人がいるということ、そしてその人たちと紡いだ想い出は、私が留学で得た最愛の宝物です。
このように、フランスでの留学生活は、いろんな意味で、私の世界を広げてくれました。いちばん最初に、大変だったー!なんて書いてしまいましたが、それと同じくらい楽しくて、幸せで、感謝の尽きない、充実した1年間でした。この留学経験は、私の一生の財産です。これを読んでくださった皆様にも、ぜひ「一歩踏み出してみること」をおすすめして、この体験記を締めくくりたいと思います。