個人留学体験記
K.W. さん
私は大学の春休みを利用して3月から4月の約1か月間をフランスのヴィシーという街で過ごしました。ずっと行きたかったフランスに行ける喜びと、初めて1人で海外へ行くことへの不安が入り混じった気持ちで日本を出発しました。
ヴィシーはフランス中部にある穏やかな街で、温泉保養地として知られています。平日は語学学校に通いフランス語を学びました。クラスの中ではフランス語を使ってクラスメートの出身国の習慣や文化に触れられることがとても貴重な時間でした。きっと日本でいたらあえては知ろう、調べようとはしなかった国のことを、その国の友人に出会えたことで気に留めるようになったのは、私にとってとても嬉しいことでした。授業内容も、様々な工夫がされており、フランス語を使う楽しみが日々増していくのを感じました。例えば、フランス語動詞の活用を覚える少し気が重たくなる勉強もチームを作ってゲーム戦にしたり、簡単な詩を作って発表したり、街に出て人々にインタビューをしたり、というような感じです。ある日クラスの女の子が、よく利用するフランス国鉄のアナウンスの中でどうしても聞き取れない部分があることを先生に伝えると、先生はインターネットで音声を探してくれ、その時間はフランス国鉄のアナウンスのリスニングの時間になりました(笑)。こんな風に自由に授業が作られていく雰囲気もとても素敵でした。
私はホームステイという滞在スタイルを選びました。ホームステイでの楽しみは、毎晩の夕食と会話、そして時々泊まりに来るホストファミリーのお孫さんに会えることでした。毎回、食材や料理の説明をしてもらいながら、「日本にはこの野菜ある?」「日本のお米は何分で炊けるの?」と日本の食文化にもとても興味を持ってくれるファミリーでした。おいしい料理のおかげで少し太ってしまいましたが(笑)、今でもよくフランス料理が恋しくなります。また、お孫さんと遊ばせてもらいながらお世話の様子を見させてもらえたことで、日本との違いに驚かされることもありました。子育ての側面からもいろいろな気づきが得られたように思います。
フランスで、外国語を習得することの難しさや苦しさを共有してくれた人、私の話す拙いフランス語に優しく、忍耐強く耳を傾けてくれた人、これまでの旅や人生について語ってくれた人、いろいろな方々と出会うことができました。多くのフランス人と会話をしたことで、同じフランス語といっても話すスピードや話し方によって印象は変わり、言葉がその人の雰囲気を表すことを強く感じました。行く前は実際に行って嫌いになってしまったら…なんて考えていましたが、フランスに住む人々や自然に触れ、人々の暮らしや芸術を観て感じたことで、フランスとフランス語にときめく気持ちは強くなりました。次にフランスを訪れるときには、今よりもいろんな経験を積んだ私であるように、日々を重ねていきたいです。